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白い背中と君の藍
第10章 エメラルドグリーン◇希望の光
チリン……チリン……

家の軒先には風鈴が飾られていて、涼しげな音に夏がもう来てることを実感する。

庭には青々とした草が風に揺れると、太陽の光が反射して、まるで宝石のエメラルドみたいに綺麗だった。

「綺麗な音ですね」

出して貰った麦茶を頂きながら揺れる風鈴を眺めていると、お母さんは嬉しそうに話し出す。

「ふふ……あの風鈴ね。孝秀が小学生の頃作った物なんです。毎年夏には飾ってるんですよ」

「えぇ!  孝秀が!!  凄〜い!  やっぱり芸術家の才能は小さい頃からあったんですね!」

本気で心から感動したのに、孝秀は

「風鈴は元々出来上がってるから……絵を描いただけだよ」

小学生時代の作品が評価されるのは満足がいかないのか、淡々と説明してきた。

「もう〜孝秀は〜。でも凄いな」

この家には孝秀の思い出が詰まっているんだと思うと、タイムカプセルを開けたみたいでワクワクする。

昔話に和んでいると、お母さんは孝秀に私のことを知っていた理由を話し出した。

「孝秀……恵さんは今日来ることを前もって手紙で連絡くれたのよ」

「え……メグが手紙を……」

孝秀もまさか私がそこまでしているとは思わなかったのか、押しだまってジッと私を凝視する。

その視線に暑さとは違う汗が背中に流れるが、騙すように実家に連れてきた時点で何か言われるのは覚悟をしていた。

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