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白い背中と君の藍
第12章 カナリアイエロー◇壊れた鳥籠
◇ ◇ ◇

「孝秀!!」

アパートに着いて自転車の鍵も掛けずに急いでドアに駆け寄った。

息を飲んでドア越しに中のようすを伺うと、妙に静かで却って怪し気だ。

ドンドンドン!

「孝秀――――!!  居るの!?」

強めにドアを叩いて、名前を叫んだが反応がない。

時間はまだお昼前。

これくらいなら孝秀は、大抵部屋の中にいる。

嫌な予感が胸に過ぎりながら、ドアノブを回すと、案の定鍵は開いていた。

バァァァン!!

勢い良くドアを開ける。

「孝秀!!  ――――なっ!!」

部屋にはいると信じられない光景が、視界に飛び込んでくる。

爽やかなイエローのワンピースとは裏腹に髪を乱して恐ろしい形相で立ち尽くす眞貴子と……

床に倒れ伏す――――

「孝秀っ!!」

何があったかは一目瞭然だった。

眞貴子の手にはイーゼルが握られていて、描きかけのキャンバスが床に無造作に落ちている。

やっぱり簡単には鳥籠からは、出れないのだろうか――――。

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