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白い背中と君の藍
第3章 スカーレット◇近付けたら
本当に絵の具、たくさんあるな。

「絵の具、触ってもいいですか?」

「いいよ〜」

鳥羽さんの声のトーンが明るくなっている。

ついさっきまで赤の他人だったのに、もう友達みたいだ。

絵の具は同系色に区分されていて、特に青系は減り方が多かった。

青系が好きなのかな?

絵の具の反対側にはキャンパスやイラストボードが立て並んでいる。

こないだの『藍色の空』あるかな……。

間近で見れるかもしれない期待に胸を膨らませて、キャンバスに手を伸ばした時――――

カラン……。

透明感のある硬質な音が響いた。

「っ!?」

伸ばしかけた手を慌てて、引っ込めて振り返る。

そこにはグラスを持った鳥羽さんが立っていて、グラスに氷と緑茶を淹れてきてくれていた。

「ペットボトルのお茶だけど、いい?」

「はい……ありがとうございます」

相変わらずの無表情が怒っている風に見えて、少し戸惑ってしまうと

「タメ口でいいよ。年も近そうだし」

鳥羽さんは淡々とした声で、グラスを私に差し向けた。

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