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白い背中と君の藍
第3章 スカーレット◇近付けたら
ドキドキする……。
何かしている訳じゃないのに、ただこうやって近くに座っているだけで緊張感が高まっていく。
真顔で絵を捲る鳥羽さんの横顔を吸い込まれるように見詰めてしまう。
少し伏せた目は結構睫毛が長い。
まだちょっと濡れている形の良い唇の赤さが、妙に色っぽく見えた。
触りたい――――。
「っ!!」
自分の中に頭を出して来た『女』の欲望に、一気に恥ずかしさが込み上がる。
やだ……
私、欲求不満なのかな?
まだ未体験ながらもそんな言葉が浮かんでくることに、更に羞恥心が込み上がってきて誤魔化すよう鳥羽さんに話しかけた。
「ここにあるの全部、見ても良いかな?」
「え……良いけど大したもんないよ。俺プロじゃないし」
鳥羽さんは少し驚いてはいたが、立ち上がって絵を見やすいように左右に広げて置いてくれる。
明らかにプロじゃないのは分かるが、美術大学が山を越えた先にあるから生徒かもしれないと思って聞いてみると
「違うよ。全部、独学」
「そうなんだ。美大近いから生徒さんかと思った」
「……まぁ、行きたかったけどね」
「そっか……」
返ってきた声が、また寂しそうに聞こえて今日はこれ以上聞かない方が良いと思った。
何かしている訳じゃないのに、ただこうやって近くに座っているだけで緊張感が高まっていく。
真顔で絵を捲る鳥羽さんの横顔を吸い込まれるように見詰めてしまう。
少し伏せた目は結構睫毛が長い。
まだちょっと濡れている形の良い唇の赤さが、妙に色っぽく見えた。
触りたい――――。
「っ!!」
自分の中に頭を出して来た『女』の欲望に、一気に恥ずかしさが込み上がる。
やだ……
私、欲求不満なのかな?
まだ未体験ながらもそんな言葉が浮かんでくることに、更に羞恥心が込み上がってきて誤魔化すよう鳥羽さんに話しかけた。
「ここにあるの全部、見ても良いかな?」
「え……良いけど大したもんないよ。俺プロじゃないし」
鳥羽さんは少し驚いてはいたが、立ち上がって絵を見やすいように左右に広げて置いてくれる。
明らかにプロじゃないのは分かるが、美術大学が山を越えた先にあるから生徒かもしれないと思って聞いてみると
「違うよ。全部、独学」
「そうなんだ。美大近いから生徒さんかと思った」
「……まぁ、行きたかったけどね」
「そっか……」
返ってきた声が、また寂しそうに聞こえて今日はこれ以上聞かない方が良いと思った。