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白い背中と君の藍
第3章 スカーレット◇近付けたら
『俺は一生……飛べない』
――――さっきの言葉が蘇ってくる。
空を見詰める瞳。
寂しそうな声。
穴が通された部屋。
広げて貰った絵を見ながら心の中で、彼の素性を探していく。
「青系の絵が多いね」
「青、好きだから」
「うんうん。私も青系好き」
小さな共通点に、思いっきり笑顔で返す。
彼のことを一つずつ知るたびに、自分の世界が広がっていく気がする。
何で私は鳥羽さんのことを知りたいんだろう?
そんな自問が胸に過るが、答えがはっきりと出ない。
一枚一枚、脳裏に焼き付けるように絵を見ていると、ちょっと胸に引っかかりを覚えた。
「風景が好きなの?」
「ん〜? まぁ……そうかな」
少し濁った語尾が、気にかかる。
そう――――
ここに描かれた全てに、人物画は一枚もないのだ。
風景や植物、数枚動物はあっても『人』の絵は一切ない。
風景画の道にすら、存在していなかった。
――――さっきの言葉が蘇ってくる。
空を見詰める瞳。
寂しそうな声。
穴が通された部屋。
広げて貰った絵を見ながら心の中で、彼の素性を探していく。
「青系の絵が多いね」
「青、好きだから」
「うんうん。私も青系好き」
小さな共通点に、思いっきり笑顔で返す。
彼のことを一つずつ知るたびに、自分の世界が広がっていく気がする。
何で私は鳥羽さんのことを知りたいんだろう?
そんな自問が胸に過るが、答えがはっきりと出ない。
一枚一枚、脳裏に焼き付けるように絵を見ていると、ちょっと胸に引っかかりを覚えた。
「風景が好きなの?」
「ん〜? まぁ……そうかな」
少し濁った語尾が、気にかかる。
そう――――
ここに描かれた全てに、人物画は一枚もないのだ。
風景や植物、数枚動物はあっても『人』の絵は一切ない。
風景画の道にすら、存在していなかった。