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白い背中と君の藍
第1章 インディゴ ◇始まりの空
明らかに挙動不審な私を男性は、目を細めて凝視している。
そんな目で見られるのは仕方ない。
仕方ないけど――――
黙って聞いてくれている。
当たり前のような些細なことに、何だか凄く嬉しく思えた。
まだ空がインディゴブルーに染まる前の夕方の少し冷たい風が吹き抜けて、足元の草花と私たちの髪を靡かせていく。
男性の瞳と藍色のキャンバスが、風景に重なって見えた瞬間――――
「ども……」
男性は小さく呟いた。
途端――――
背中が引力に引っ張られるような感覚が走る。
「わ……私、和久井って言います!」
自分の名前を大きな声で伝えていた。
後から考えると凄く大胆なことをしていたけど、この時の私の頭の中は小さなビッグバンが起きていて、流星群がグルグル渦巻いているみたいに思考は真っ白な光の塊になっていたのだ。
ただ名前を言っただけなのに、やたら心臓がバクバクと脈を早める。
夕風に吹かれながら、お互いしばし動止してしまう。
無反応の相手に凄く気まずくなってきた。
そんな目で見られるのは仕方ない。
仕方ないけど――――
黙って聞いてくれている。
当たり前のような些細なことに、何だか凄く嬉しく思えた。
まだ空がインディゴブルーに染まる前の夕方の少し冷たい風が吹き抜けて、足元の草花と私たちの髪を靡かせていく。
男性の瞳と藍色のキャンバスが、風景に重なって見えた瞬間――――
「ども……」
男性は小さく呟いた。
途端――――
背中が引力に引っ張られるような感覚が走る。
「わ……私、和久井って言います!」
自分の名前を大きな声で伝えていた。
後から考えると凄く大胆なことをしていたけど、この時の私の頭の中は小さなビッグバンが起きていて、流星群がグルグル渦巻いているみたいに思考は真っ白な光の塊になっていたのだ。
ただ名前を言っただけなのに、やたら心臓がバクバクと脈を早める。
夕風に吹かれながら、お互いしばし動止してしまう。
無反応の相手に凄く気まずくなってきた。