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白い背中と君の藍
第1章 インディゴ ◇始まりの空
「いきなり……ごめんなさい。失礼します」
深々と頭を下げて、汗ばむ手で自転車のハンドルを強く握って歩き出す。
本当に……
何してんだろ私……。
サドルに跨ろうと勢いを付けようとしたが、鮮やかな藍色が頭を過る。
もう一度だけ……
見たいな。
遠目から盗み見でもするように、キャンバスを覗くと――――
「あっ……」
男性と目が合ってしまった。
ドックンッ!
鼓動が大きく跳ねる。
どこか無気力だけど――――
真っ直ぐ見詰めてくる彼の瞳は、広がる空のように澄んで見えた。
こっそり覗こうとしていたことへ羞恥心と罪悪感が湧き上がってくると――――
「……」
男性は無言のまま、小さく頭を下げてきた。
「すみません!」
咄嗟に頭を下げ返して、ペダルに足を掛ける。
自分らしかぬ行動に、顔が一気に熱くなるのを感じながら自転車を進ませると、冷たい向かい風が頬に当たって気持ちを落ち着かせていく。
だって……
凄く綺麗だったんだもん。
何かを言い聞かせるように見上げた赤紫の空に、一番星が小さく姿を現した。
深々と頭を下げて、汗ばむ手で自転車のハンドルを強く握って歩き出す。
本当に……
何してんだろ私……。
サドルに跨ろうと勢いを付けようとしたが、鮮やかな藍色が頭を過る。
もう一度だけ……
見たいな。
遠目から盗み見でもするように、キャンバスを覗くと――――
「あっ……」
男性と目が合ってしまった。
ドックンッ!
鼓動が大きく跳ねる。
どこか無気力だけど――――
真っ直ぐ見詰めてくる彼の瞳は、広がる空のように澄んで見えた。
こっそり覗こうとしていたことへ羞恥心と罪悪感が湧き上がってくると――――
「……」
男性は無言のまま、小さく頭を下げてきた。
「すみません!」
咄嗟に頭を下げ返して、ペダルに足を掛ける。
自分らしかぬ行動に、顔が一気に熱くなるのを感じながら自転車を進ませると、冷たい向かい風が頬に当たって気持ちを落ち着かせていく。
だって……
凄く綺麗だったんだもん。
何かを言い聞かせるように見上げた赤紫の空に、一番星が小さく姿を現した。