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白い背中と君の藍
第3章 スカーレット◇近付けたら
心配そうに見詰めてくる瞳に、胸がギュッと締め付けられる。

「ちょっとだけ……慣れてないから」

「うん……そうだよね。ごめん」

あんなに激しいキスをしていたのに、急に捨てられたワンコみたいな目をしてくるから、思わず背中を優しく摩ってしまう。

「ふふ……もう大丈夫だから」

笑顔を向けると鳥羽さんはホッとした顔を見せて、今度は息が出来るように唇を重ねてくれた。

嬉しかった――――。

いつも虚空を見ているかのような彼の瞳に、今は確実に私だけが入っていて、感情がこもった視線を向けてくれたのだ。

まだ自分の彼への気持ちも何なのか分かっていないけど、胸の奥から満足感に近いものが込み上がって鼓動が早まる。

ドックン――――
ドックン――――

緊張感とはまた違った鼓動に、気分が高揚してきた。

彼は顔を傾けて、唇が描く凹凸に合わせて重ねてくる。

温かい舌がゆっくり奥まで入って口の中をネットリと掻き回し始めた。

「ん……あ、はぁ……」

正直今まで、キスとかセックスが何で気持ちが良いのか解らなかったけど
――――

身体の一部が触れ合うだけで、こんなにも心が満たされるんだと、理解出来たような気がした。

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