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白い背中と君の藍
第1章 インディゴ ◇始まりの空
◇ ◇ ◇


「――――メグ…おいっ!  和久井恵!」

「えっ!?  はいっ!  いらっしゃいませっ!!」

自分のフルネームが頭上から降ってきて、反射的に接客モードになってしまった。

慌て見たコンビニの入り口には、お客様どころかドアも開いていない。

「あ……れ?  お客様は?」

本気でボケている私の頭に先輩の上条智充(さとる)が拳を軽く乗せてくる。

「あれ、じゃないっ!  今日ずっとそうやってボンヤリしてるけど何かあったのかよ?」

「はぁ……まぁ」

「恵が考え事なんて珍しいじゃん。どれ、俺に言ってみな〜」

「えっ!?  いいですよ!  智充先輩に話すほどのことじゃないですから!」

「話すほどのことじゃないなら、話してもいいだろ?」

「は……あぁ?」

そう言うものかな?

こうやって智充先輩は、いつも不思議な理論で私を丸め込んでくる。

大学は違えど智充先輩は地元の高校が同じで、見知っていた。

コンビニのバイトを始めたら、たまたま先輩も働いていて、元来世話好きなのか色々と面倒を見てくれる。

忙しいコンビニのバイトも何とか長く続けられているのも、先輩の存在のお陰だろう。

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