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白い背中と君の藍
第4章 クリア◇蜜の味
やっぱりキスが上手に出来てなかったからかな?

もう一度チャンスがあるなら、少しは上手に出来そうな気がするんだけど……。

それとも……『遊び』だった?

直ぐにヤれそうにないから、面倒になって河原にも居なかったのかもしれない。

いや!
鳥羽さんは、そんな不純な人じゃないよ!

……多分。

今時点では私は鳥羽さんのこと、何も分かっていないんだよね。

何で一人暮らしなのかも、部屋の壁の向こうの部屋のことも、何で寂しそうな顔をしているのかも――――

素性を何一つ知り得ていない。

一瞬の間にネガティヴなことが次々に浮かんできて、目に涙がにじんできてしまう。

泣かないように口を結び俯き加減になっていると、先輩が小声で話しかけてくる。

「おい、いきなりしおらしくなってどうした?」

「……いえ」

今何か話したら、一気に涙が溢れてきそうだ。

一旦、バックヤードに下がった方がいいかもしれない。

鳥羽さんのことは気になるけど、店頭で泣くわけにはいかないし……。

「先輩、私ちょっと……」

先輩に一言断りを入れかけると――――

「恵、お客様!」

「あ……」

トン!

目の前にペットボトルが置かれた。

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