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白い背中と君の藍
第4章 クリア◇蜜の味
行っちゃった……。

鳥羽さんが出て行ったドアを名残惜しく見詰めていると

「おい……あの客と何かあったのかよ!?」

智充先輩が妙に焦った風に聞いてくる。

こんな慌ててる智充先輩は初めて見て、何だか私も釣られて焦ってしまう。

「ないですよ!」

鳥羽さんとのことは先輩には関係ないけど、咄嗟に嘘を付いてしまい後ろめたさに目を背けると、余計怪しかったのか先輩は何か察してしまった。

「恵……何かあったな」

ギックゥ〜!

本当に先輩は勘がいいな……。

ここは上手く誤魔化さないと、本当に『強制飲み会』に連行されてしまう。

「バイトがない日に、たまたま川辺で見かけたんですよ。あのお客さん絵を描いてて、画材の話を少ししたんです」

あながち嘘ではない。

実際、鳥羽さんとは絵の具の話はした訳だし、智充先輩も地元の人だから内の店のことは知っていた。

「あぁ、そっか。恵んち昔画材の扱ってたもんな……」

「そうそう〜」

これで鳥羽さんの話は終わると思った――――ら!

「だけど、それでなんでバイトの上がり時間聞くんだよ?」

思いのほか先輩はしつこかった。

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