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白い背中と君の藍
第4章 クリア◇蜜の味
ガチャ――――。

「どうぞ」

「お邪魔します」

鳥羽さんは部屋のドアを開けると、私を先に入れてくれた。

鳥羽さんの部屋、二回目だ。

前回とはまた違った感じで、緊張してくる。

脱いだ靴を揃えて部屋に上がると、イーゼルにキャンバスが立てられていた。

ほのかに部屋に残っている絵の具の独特な臭いが鼻腔を衝く。

「描いてたの?」

「うん……メグが帰ってから描いてた」

「部屋で?」

「あぁ……今日まで」

「そっか、だから河原に居なかったんだね」

川辺で見掛けなかった理由が分かった途端、三日間募っていた不安は根刮ぎ掻き消えた。

「見ていい?」

「いいよ」

キャンバスに近付くと、キスした日に二人で見た黄昏の空の色で塗られている。

涙が出そう……。

「凄く、綺麗ね」

「そう?」

鳥羽さんの返事は、変わらず淡々としてたけど……

まるで二人の思い出を切り取って、描いてくれたかのように思えたのだ。

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