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水蜜桃の刻
第13章 その身体
ぎしっ、とベッドが軋む音がして、おなかの上の手がとられ、拭われる。
私が広げた精液も。
そっと目を開ければ、先生が私を見下ろすようにしていた。
先生────……。
その視線を受け止める。
もうその瞳の中に、さっき感じたゆらめきは見られなかった。
私を見ているはずなのに。
どこか遠くを見ているようなそのまなざし。
先生……と口にしようとしたときだった。
「……返事、どうするの」
え……? と、かけられた言葉の意味にすぐ気づけなかった私は目で問いかける。
「だから──彼への返事」
その言葉にようやく、本郷くんのことを思い出す。
……頭の中からすっかり消えていた、彼の告白を。
「付き合うの?」
先生に抱かれた直後なのに……そんなこと考えられるわけがなかった。
先生を見つめたまま、ゆっくりと首を振る。
私の頭の中には先生しかいない。
先生で、もういっぱい。
ただでさえそうだったのに、こんなふうにまたその身体を繋げてしまえばなおのこと。