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水蜜桃の刻
第17章 その心
それから一週間後────。
私以外誰もいない家の中。
ピンポーン……と呼び鈴の音が響く。
私には、誰が来たのかもうわかっている。
玄関に行きドアを開けると案の定、そこには先生が立っていた。
どれくらい振りだろう──久しぶりな気がするけれど、考えてみたらまだそんなには経っていないだろうか。
「……仕事があるから、あまり時間は取れないよ」
無表情にも見えるその顔からは、まるで感情が読み取れない。
私は、それでも先生を真っ直ぐに見つめた。
「わかってる」
この表情を崩したい────。
なぜかそんな衝動に、駆られながら。