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水蜜桃の刻
第19章 その言葉
「飲む?」
ベッドに横たわっていた私に、キッチンから戻ってきた先生がペットボトルの水を差し出してきた。
私は身体を起こし、それを受け取る。
そのまま先生が、私の隣に戻ってきた。
身体が触れ合うくらいの近さ。
先生のぬくもり。
その……匂い。
幸せな気分のまま、こくりとひとくち飲めば、途端に喉が潤っていくその感覚に、もう少し……と飲み続ける。
はあっ、と息を吐きながらペットボトルを先生に返し、とん……と、その肩に寄りかかった。
そのままちらりと先生を見上げれば、水を口にしてごくりと動く喉仏。
見とれて、ぼーっとしてしまっていた私に先生は気づき、不意に唇を寄せてきた。
「ん……!」
感じた、冷たい感触。
顎を伝っていく。
慌てて少し口を開けば、水が流れ込んできた。
こくりと飲み込む、口移しのそれ。
「……もっといる?」
そんなふうに聞かれ、小さく頷く。
2、3回そうやって与えられた私は、先生の唇が離れていったあと、は……と息を漏らした。
顎に伝ったものを拭おうとすると、先生がそれよりも早くそこに舌を這わせぺろりと舐めてくる。
「んっ……」
その感触にぞくぞくっとして、先生の腕をきゅっと掴む。
舌はすぐに離れていったけど、甘い余韻はしばらく残ったままだった。