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水蜜桃の刻
第19章 その言葉


「……ね、先生?」


ベッドに横になって、隣の先生の身体に寄り添いながら話しかける。


「私……今まででいちばん気持ちよくなれたかも」


先生は一瞬私に視線を流すと、ふっ、と微かに笑った。


「……いっぱいキスしてくれたの、すごく嬉しかった」


ずっともらえなかったから。
ずっと、キスのないセックスだったから。
だから今日は本当に嬉しかった。
すごく……幸せな時間だった。


「やっぱりキスって特別だよね……」


先生の腕に絡めるように両腕を回してぎゅっと縋れば、身体を少し私の方に向けるその気配を感じ、顔を上げる。

そして先生がくれたキスは触れるぐらいの軽いものだったけれど、心が満たされていくその感覚は深いものだった。

離れたあと、ふふ、と口元に自然に笑みが浮かぶ。


「……先生。聞いていい?」


少し気怠げに前髪をかきあげて、ん……? と目線を私にくれる先生のその表情。


……好き。


何度でも、思う。
先生への気持ちでいっぱいな私の心。
あらためてそれを感じながら、続けた。


「さっき言ってたことだけど……ほんとに私だけだったの?」


行為の最中に少しだけ耳にした言葉。
あのときは、襲われた快楽にもう何も口にできなくなってしまったけれど……やっぱり、どうしても聞かせて欲しかった。


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