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水蜜桃の刻
第20章 蜜刻
先生の胸の中でやがて落ち着きを取り戻した私は、勧められるままにシャワーを浴びた。
バスルームを出ると、キッチンにいた先生が私を呼ぶ。
「透子、これなら飲める?」
そう言いながら冷蔵庫を開け、中からジンジャーエールを取り出した。
「あ、それ好き」
そう言うと先生は、よかった、と呟いて私に手渡してくれた。
「俺、ほとんどビールばっかりだから。
今度、透子の好きそうなのもっと買っておくよ」
その言葉が嬉しくて、こくんと頷く。
先生は私の頭をぽんと撫でて、俺も浴びてくる、と言いバスルームに入っていった。
リビングのソファーに座った私はそれを開け、こくりと飲んだ。
久し振りに口にした味。
おいしい、と呟いて、ソファーの背に凭れ掛かる。
無意識のうちに、はあ……と深く息を吐いていた。
頭の中をぐるぐると回っている、先生の言葉。
……私を好きだと言った、その声。
「夢みたい……」
ぽつりと、呟く。
手の中のそれを見つめながら。