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水蜜桃の刻
第21章 epilogue
そうして、月日は巡る。
季節は初夏を迎えていた。
「はい」
テーブルに座る先生の前に、カットした桃が入ったお皿を出す。
「お母さんが、先生にもって」
いっぱいくれたんだよ、そう続けて私は先生の向かい側の椅子に座った。
「……ああ、もうそんな季節」
先生は言い、フォークで突き刺した桃を口に運ぶ。
それを見て、私も同じようにした。
「ん、おいし」
思わず言葉が漏れるほど、噛んだ途端に溢れる果汁は濃厚で甘い。
……そんな私に視線を寄越す、先生の少し細められたまなざしも、同様に。