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水蜜桃の刻
第4章 記憶


「さっきもこうやったの?」

「……っ……!」


私の顔を見下ろして、そんなふうに聞いてきて。


「……あ、やっ……して……ないっ……!」

「ほんとに?」


こくこくと頷きながらも、口から出る声を抑えられない。


「こうやってひとりでここ弄ったんじゃないの?」


ぐりぐりと、先生が私の指をそこに押しつける。


「────っ!!」


苦しい。助けて。


思わず背中が浮く。
今までされたことのないそんな責め。
なのに、私の身体はかつてないほどの快楽に襲われていた。
先生の言葉のひとつひとつに疼きがひどくなる。
泣きたいぐらい恥ずかしいのに、おかしくなるぐらい気持ちいい────。


「……あ、いやっ」


突然、先生の指が離れ、思わず追い縋るような声を漏らしてしまった。


「……どこ、さわられたい?」


そんな私にかけられた、その問い。


「え……」

「どこを、どんなふうに?」


涙の滲む目元を、すっと拭われた。


「言われたとおりしてあげるよ」


先生を縋るように見つめ、ゆっくりと首を振る。


そんなこと、言えない。
恥ずかしくて言えないのに。


なのに、先生は。


「……躊躇ってる時間なんてないけど。
途中でやめなきゃいけなくなっても?」


そんな言葉で私を焦らせて


「嫌……っ、言うから……!」


……ほら、こんなにもすぐ、こんなにも簡単に、私の思考を暴いていく。


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