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呪いのしるしを、君の体に。
第3章 3
「変わった子だな、君は」
「大きなお世話です…どいてください」
へえ、と高槻の目がいたずらに光った。
「どかないって言ったら、どうする?」
「蹴り飛ばしてどかします」
その答えに、高槻は笑いだして、ことりの拘束を緩めた。
そのまま彼女に突っ伏すようにして笑い始める。
「ちょ…人の上で笑わないで下さい!
もう私帰りますから!」
「あー、ダメダメ、こんな面白い子だと思わなかったから、まだ帰さない」
身をよじったことりを、高槻が抱きしめた。
後ろから抱きしめられる形となって、ことりは心臓が飛び跳ねた。
「ちょ…!離してください! 警察呼びますよ!」
「いいよ。呼べば?」
それにことりは絶句した。
「こっちはこの別荘の家主で文芸家。
君は見ず知らずの貧しい女子大生。
さて、警察に言ったとして、どこにも何も証拠はない。
どちらの言い分を信じると思う?」
「な…」
「助けた女の子が、お金目当てで僕のところに来て
色仕掛けで騙そうとしました、助けてくださいって僕が言ったとして、さあ、不利になるのはどっちかな?」
高槻の息が、ことりの耳にかかった。
甘く、囁く悪魔の声。
耳に触れそうで触れないぎりぎりを、高槻はあえて狙って囁いた。
「大体の女が、僕や金目的で迫ってくるのに、君は純粋にお金返そうだなんて…。
甘え方も下手だし、僕に媚びない女は久しぶりでそそられちゃって」
「この…ゲス男…!」
「いいね、その言葉」
高槻のことりを抱きしめる力がさらに強くなった。
苦しくてことりは息がつまる。
大人の男を見くびっていた。
後悔と、こんなことをされて、体が反応してしまうのは
怜央との関係に、あまり気持ちを寄せられないからだった。
「ほら、僕にもっと暴言を言って。
その可愛い唇から、次はどんな言葉が出てくるの?」