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呪いのしるしを、君の体に。
第6章 6
「ところでバカツキ先生」
「その呼び方はやめないかい?」
「人前ではやめます。で、どこへ向かうんです?」
「行ってからのお楽しみだよ」
「意地悪ですね、バカツキ先生」
高槻は困ったように笑いながら車を走らせる。
高原だけあって、吹き抜ける風は爽やかで
思わずことりは窓を開けて顔を出した。
「ちょ、ことり君危ない」
「先生、きれいですね」
高槻はことりの服の裾をつかむが
お構いなしにことりは体を乗り出すようにして風を感じた。
そう言えば、買い物以外で外に出たのは
ハウスキーパーのアルバイトを始めてから初だった。
「君も、そうやっていればかわいらしいのに」
「大きなお世話です!」
べぇ、と舌を出したところで、信号で止まる。
「ほら、おいで、危ないから」
高槻の手が伸びてあっという間にことりを捕まえた。
一瞬にしてことりの心臓が縮まり
顔が真っ赤になる。
「やだ、放して先生!」
「ダメ。おとなしく座って。顔を出してもいいから、ミラーより手前にして」
「わ、わかったから放して…」
がっちりと高槻はことりの胴体を抱きしめた。
剥がそうにも男の力はことりに遠く及ばず
あっという間に胸に顔を押し付ける形となった。
「先生、信号!」
「もう、いいとこだったのに…」
笑いながらことりを開放し
また車を走らせる。