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呪いのしるしを、君の体に。
第7章 7
「すごく好きです…もし私が文学部だったら、絶対にみなみ七瀬の作品で卒論書きます」
「そこまで好きだったとはね」
高槻が、ふと考える顔をして
そのあと、立ち入り禁止エリアに入っていく。
しばらくしてその扉が開くと
中から高槻がニコニコしながら半身だけ出て来た。
「ことり君、ちょっと」
手招きされて、ことりは恐る恐るその立ち入り禁止エリアに近づく。
中から、高槻が一冊の本をことりに差し出した。
「これ、みなみ七瀬の幻の一冊」
「え、ほんとですか?」
にこり、と高槻は微笑んだ
みなみ七瀬の幻の本と呼ばれているのは
彼がまだ若い時に自費出版したとされている本だった。
そのあと、爆発的に人気になったので
自費出版社からたった100冊しか出回らなかったこの自費出版本は
ファンの間では幻の1冊として知られている。
そして、ネットなどではオークションにかけられるほど。
もちろん、ことりの手が出せる値段ではない。
「読みたい…よね?」
それに、ことりはこくこくと頷いた。
「借りたいです。大切に読みますから」
「いいよ」
ただし、と高槻が付け加えた。