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よくある恋愛モノ
第4章 嵐に呑まれて
この学校には馬鹿しかいないのだろうか……
「そもそもあなたは凪に必要以上につきまとっているそうじゃありませんか」
「そんなことありません。風紀委員として当然のことをしているだけです」
「あなたに凪のことについて口を出す権利があるのですか?」
「そちらこそ何の権限に基づいて私を呼び出してるんですか?」
冷静に返す美和とは裏腹に、三人はどんどん熱くなる。
「もっとも凪を愛しているのは私たちだからです!」
「凪くんの心と体を守るために邪魔なものはすべて排除すべきなのです!」
相手のことをわかったように振る舞う人間ほど厄介なものはない。
“一方的な愛って迷惑ね……”
さすがの美和もこの時ばかりは凪を哀れんだ。
「意味わからないんですけど……」
このくだらないやり取りに嫌気が差してきたところに、奈桜がさらにめんどくさい発言をした。
「そういえば聞いたことがあるんですけど、彼女、和泉くんのアパートに押し掛けたらしいですよ!」
「まぁ、なんてこと! 図々しいにも程があります!」
一斉に非難する会長たちを美和が遮る。
「同じアパートに住んでるだけです」
「お……同じ……」
「アパート……」
「もういいですよね、帰ります」
雷に撃たれたように固まる三人を置いて教室を出ようとする美和に負け犬が吠える。
「これ以上凪に近づいたら、ただじゃ済みませんからね!」