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よくある恋愛モノ
第6章 終幕
「塚田……?」
凪は呟くと、寅次郎の名前を呟いた女子の方へ近づいた
「お前今塚田って言ったか?」
「あ、あの…はい……」
凪に怒りに満ちた目を向けられ、その女生徒は縮み上がる
凪は一瞬間を置くと、ドアを乱暴に開けて出ていった
一方そのころ、隣の教室では−−−
「やっべー、この課題おわんねっすよー」
「でもそれ出さなきゃ留年なんだろ?」
「そうなんすよねー」
自分に危機が迫っていることにも気付かず、寅が呑気に友達と話していた
バンッ
ガターンッ!
寅が驚いて振り向くと、凪が静かに立っていた
静かに、だが怒りに満ちて−−−
凪が蹴ったらしく傍の机は滅茶苦茶になっている
「てめぇ……」
カッカッ…
グィッ
凪は寅に近付くと胸ぐらを掴み、壁に押しつけた
「なんのつもりだ……」
「い、いや、あの……」
予想と違う展開に驚く寅
「こんな小細工で俺を嵌めようとしたのか?」
ガッ!
凪の拳が宙を切ったかと思うと、寅の唇から血が溢れだした
「ちょっと凪! 何やってんの」
騒ぎを聞きつけた美和が慌てて止めに入る
「最近おかしいと思ってたんだよ! てめぇもこそこそなんかやってたしな!」
再び殴ろうとした凪を美和が抑える
「なんだよ! てめぇだってこいつに嵌められたんだそ!悔しくねぇのかよ!」
「それは……」
「違うんす……」
美和が言い淀んだとき、寅が弱々しく遮った