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よくある恋愛モノ
第6章 終幕
「は? 何がちげんだよ。全部てめぇが仕組んだことだろ!」
「やったのは確かにオレっす……でも…考えたのは星来さんで……」
「星来?……森継か?」
意外な名前に驚く
「……」
凪が険しい顔で黙り込むと、教室全体が息をつめ静寂に包まれた
その時−−−
「和泉くん?」
全て自分の思惑通り進んでいるとでも思ったのか−−−
そこにいたのは星来だった
「ど、どうしたの?」
まさか寅が裏切るなどと予想もしない星来は、教室の現状にわざとらしく驚く
「……」
凪は相変わらず黙ったままだ
「……和泉くん?」
「なぁ……」
静寂を破った凪の声は、心なしか震えていた
「お前がやったのか?」
「え?」
凪は戸惑う星来にゆっくりと近づく
星来の前で立ち止まると、凪は低い声で繰り返した
「お前が、俺を嵌めようとしたのか?」
「ち、ちがっ……」
星来は弁明しようとするが、一瞬目が泳いだ
それだけで十分だった
「そうか……」
凪が拳を振り上げる
ガツンッ!
「いっ……」
「な……っ」
美和は頬を抑え凪に向き直る
「だめ……だめだよ、凪。どうしてやったのかもわからない。なのにどうして責めるの?」
「どうして? やったのは事実だろ」
美和は首を振る
「確かに森継さんはひどいことしたかもしれない。でも……」
「ばっかじゃないの」