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よくある恋愛モノ
第7章 変化
「川本」
「……何」
美和はぶっきらぼうに答える
「何怒ってんだよ」
美和の態度に凪は少し焦った表情をする
“凪が動揺してる−−−?”
なんてことには美和は気がつかない
「あんたが終礼でなかったから」
頭の中は怒りと呆れでいっぱいなのだ
「そんなのどうでもいいだろ」
“いや、どうでもよくないし”
「今日、帰らないか?」
“はぁ……”
って、
「は!?」
“帰る”って……一緒に!?
「え? 何の冗談?」
今日は凪に驚かされてばかりだ
「いや、その……なんでもいいだろ! もういい、勝手にしろ!」
そう怒鳴ると、教室を出て階段を駆け下り、あっという間に凪は見えなくなった
“……はぁ?”
「先週言ったクラス会の予定が決まったから、名前呼んだらプリント取りに来てくださーい」
次の週の朝礼に凪の姿はなかった
やはりあの日は特例中の特例だったらしい
「川本さん、川本さん!」
「えっ?」
サボり魔のことを考えていた美和は、急に現実に引き戻される
「ああ、はい」
美和が慌ててプリントを取りに行くと、
「今いないから、和泉くんの分も渡しといてくれる?」
と学級委員が言った
その瞬間、教室が騒めきに包まれる