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よくある恋愛モノ
第7章 変化
「ああ、うん」
美和は2枚のプリントを受け取ると、席に戻った
「へぇ、和泉くん来るんだー」
周りの子が話し掛ける
「そう、何か急に行くとか言い出して−−−」
「森継さん」
騒めきに負けないよう学級委員が張り上げた声が教室に響き渡る
一転、沈黙の訪れ−−−
「え……?」
驚いたのは、クラスメイトだけではなかった
星来自身が、整った顔に驚きの表情を浮かべている
「森継さん……あの、これ……」
学級委員はそんな星来の態度を不審に思いながらも、星来に取りにくるよう促した
星来が立ち上がると、教室は再び騒然とした
たがそれは、先ほどとは全く違う−−−
「なんで来るの? 意味わかんなくない?」
「よく平気な顔してられるよね。あ、コウガンムチってこんな感じwww?」
悪意に満ちたものだった−−−
クラス会当日−−−
「じゃ、これからお昼の自由時間でーす。2時にはここに集合してねー」
それぞれがグループになり散っていく中、星来だけがポツンと取り残される
あれだけ反感を買ったのだから、声を掛ける者などいるはずもなく−−−
“どうして来たのっ……こんな思いするなら来なければ良かったじゃないっ……”
それはただ、自分のプライドが許さなかったから
あんな人たちに負けるのは、悔しいから
下らないプライドだと分かっている
でも、そのプライドが涙を流すことさえ許さない−−−
“謝るのだってごめんよ!”
星来はうつむき、必死で孤独を振り払おうとした
「星来さん! 星来さん!」