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よくある恋愛モノ
第8章 伝わらない気持ち
「何やってんだ、馬鹿みてーだぞ」
突然背後から声がしたかと思うと、凪がひょいと本を取った
「これか?」
目の前に差し出された本を見て美和は驚く
「……なんでここにいるの?」
「は? まずはありがとうだろうが」
「……ありがとう」
美和はそう言って凪から本をひったくった
「お前……っ」
「星来は?」
「なんであんなやつと……」
星来の名前を聞いた途端、凪はみるみるうちに不機嫌になる
「なんでって……」
“そんなの、私の口から言えるわけないじゃない”
「なんでもない」
美和はため息をつき、凪に背を向けた
「おい」
美和は少し振り向く
「いや、その……」
凪はしまった、という顔をした
美和の態度に思わず呼び止めてしまったのだ
「なんでもない……」
美和は不思議そうな顔をしたが、そのまま書庫を出ていく
「くそっ……」
美和の後ろ姿を見ながら、凪は小さく悪態をついた
「浴衣祭り?」
凪は陽菜乃の言葉に口に運びかけた手を止める
今日の夕食はカレーだ
凪の両親は共働きなので、夕食はいつも陽菜乃が作っていた