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よくある恋愛モノ
第8章 伝わらない気持ち



「…っ……」

「よし、出来た! 苦しいとことかない?」



そう聞かれ、凪は少し顔を歪める

苦しいというか、これを着ること自体が苦痛極まりないのだが−−−



「おい、本当に着なきゃだめなのか」

「当たり前でしょ、浴衣祭りなんだから!」



陽菜乃は凪の部屋のドアを開けながら言った



「嫌なら今日1日陸にぃと回ってもらうけど?」

「聞こえたぞー」



それだけはなんとしても避けたい凪は、しぶしぶ陽菜乃に従う



「おー、やっぱ茶道部なだけあって上手いなー」

「陸にぃは下手すぎ……直してあげたいけど、時間ないからなぁ」



2人がそんなやり取りをしている間に、凪は動きにくさにイライラして襟を引っ張ったりしていた

濃紺の浴衣が凪の白い肌を際立たせ、和洋関係なく似合ってしまうところが凪のスタイルの良さを物語る



「お兄ちゃん、何やってんの! 約束に遅れちゃうよ!」



妹に急かされ、兄も家を出る



「美和ちゃんとは祭り会場で待ち合わせだから」

「は!?」



てっきり4人で向かうと思っていた凪は、驚いて立ち止まった



「早く〜」



“くそっ”



何が悲しくてこの3人で一緒にいなきゃならないのか


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