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よくある恋愛モノ
第2章 嵐の始まり



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キーンコーンカーンコーン……



チャイムとほぼ同時に凪は逃げるように教室を出る。


“なんであんなくだらないモンのために時間割かなきゃいけねんだよ”



別に授業にでる時間がないほど忙しくなどないのだが、そんな理屈は不良には通じない。

そして、明らかに苛立った不良に普通の人間は近づかない。

だがここに、普通ではない人間が一人……



「凪さん一限出たんすか!?」

「うっせー、それがどうかしたのかよ」



塚田寅次郎。冴えない名前のアホ男だが、中3で凪と同じクラスになってからすっかりその魅力の虜になってしまったのだ。



「オレずっと倉庫で待ってたんすよ! なに真面目に出ちゃってんすかー」



このこのぉ、と突いてくる寅。かなり、ウザい。



「てめーにかんけーねーだ……」



凪が怒鳴ろうとしたその時、



「あれ、塚田くん? なに、まだ凪にくっついてんの?」



火に油。



「はぁ……こいつがうるせーから仕方なく、だ」

「凪と付き合ってるとろくなことないから気をつけなー」



美和はそう言って凪に背を向けた。



「いちいちうぜーんだよ!」



凪は去っていくその背中に思い切り捨て台詞を吐く。


「あ、あのー……前から思ってたんすけど、凪さんと美和さんて仲良いっすよね」



これぞアホ男の本領発揮。



「は? 別に仲良くねーよ。偶然同じアパートに住んでる偶然同い年の偶然小中高が一緒になった偶然親が仲良いだけの女だ」

「え……そ、そっすか……」



ようするに幼なじみ……



「んだよ、なんか文句あんのかよ」

「い、いえっ!」



さすがのアホ男も、不良に、自分のボスに文句を言うほどバカではなかった。


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