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よくある恋愛モノ
第8章 伝わらない気持ち
日が沈む−−−
教室に夕陽が射し込む頃、美和は風紀委員の仕事を終え、帰る支度をしていた
“最近凪に付きまとわれてるからなぁ”
久しぶりに1人でゆっくりと過ごせる
きちんと説明もせず避け続けるのは凪に申し訳ないような気もしたが、これは不可抗力だった
“何考えてるんだろう……”
どんなに不良でも幼なじみ
何に怒っているのか、何故苛立っているのか
なんとなく分かっているはずだった
今までは−−−
「美和さん?」
「ひゃっ!?」
考え事をしていて、人が教室に入ってきたことにも気が付かなかった
「せ、星来? こんな時間までどうしたの? 部活?」
“ていうか星来部活やってたっけ?”
美和はそんな何気ない日常の会話をするつもりだった
「今日は和泉くんと帰らないの?」
突然落とされた爆弾に美和の顔が強張る
「え……何で? 今日は委員会あったし、一緒に帰ったことなんてないよ?」
「校門で待ってるけど」
「え」
二弾目
“今日は帰ったかと……”
「せ、星来のこと待ってるんじゃない?」