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よくある恋愛モノ
第8章 伝わらない気持ち
違うと心の底で思いつつ、美和はそう言った
「そんなことないよ……」
星来の顔が少し下を向く
それは美和の目に失恋してうなだれる少女として捉えられ、思ってもいないことを言ってしまう
「えー、確かにあいつ鈍感だけど、さすがに気付いたんじゃない?」
「鈍感……本当にそう思ってるの?」
そう言って顔を上げた星来の表情は、悲しみでも落胆でもなく、呆れだった
「え?」
「どうして和泉くんが自分のこと待ってるとは思わないの?」
心の底にあったまさかという思いを見透かされ、美和は慌てる
「そ、そんなの……ありえな……」
「鈍感なのはどっち?」
星来のその言葉は、まるで美和に止めを刺すかのようだった
「それ…それって……凪が私のこと好きってこと?」
「さぁね」
そこまで言っておいて星来は白を切る
「でも…凪はただの幼なじみだし……そういうのは全然……」
狼狽える美和を残して教室を出ていく星来
美和はそんな星来を引き止める余裕もなかった
“どうして……いつから……なんで……”
そんな考えが頭の中を駆け巡る