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よくある恋愛モノ
第9章 不安



「川本さん」



振り向くと星来が立っていた



「重そうだね……手伝う?」

「あの……ううん、大丈夫。ありがとう」



美和はたどたどしくそう言うと、2人の間に気まずい空気が流れる

いや、正確にいうと気まずいと思っているのは美和だけで、きっかけを作った本人はむしろもどかしさを覚えていたのたが。



「美和……?」



そのとき偶然にも星来のもどかしさを解消してくれそうな人間が来た



「凪……っ」

「…荷物、多いな……持とうか……」

「そ、そういうのっ、別にいらないから……」



美和は頑なに目を合わせない

そんな美和の様子に、凪は一瞬動揺した

だがすぐに冷静さを装い荷物を持つ



「無理すんなよ」

「いいってば!」



美和は素早く奪い返す



チンッ



エレベーターが到着し、美和は荒々しく乗った



フ…



凪がため息を着きかけたそのとき



ドンッ



「…っ……!?」



ドンッ

ドサッ



凪は何者かに背中を押され、勢いで入り口の反対側に手をついた

そして、その両手の間には美和が−−−



チンッ



凪の後ろでゆっくりとドアが閉まり、その状況を作り出した星来の姿が消えていく



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