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よくある恋愛モノ
第10章 そして、確信
カシャーン…
携帯を落とした音が鳴り響く
「え…やばくね? これ」
「逃げろ!」
チンピラたちは一斉に逃げて行き、凪と美和だけが取り残された
凪は立ち上がり、何とか美和の方に一歩踏み出す
グラッ…
凪の体が大きく揺れた
「凪!」
「美和…大丈夫か……」
「自分の心配してよ、ばかっ」
美和は凪の体を横にする
「……っ」
凪の腹部から、真っ赤な血が溢れだした
「凪…凪……死んじゃやだ……」
凪は少し目を開けて美和を見ると、軽く笑った
「死なねーよ…っ……こんなんで……」
そのまま凪は深い闇に呑まれていった−−−
「美和ちゃん」
病院に着くと、陸が待っていた
警察からようやく解放され、やっと凪の容態が聞ける
でも聞くのが怖くて、美和はじっと陸を見ることしかできなかった
すると、陸はいつもの柔らかい表情で笑う
「大丈夫だよ、内臓とかにはいってないし、命に別状はない」
美和はほっとしてその場に崩れ落ちそうになった
美和の母親も安心した顔をしている
「さ、美和、今日は帰りましょ」
そう言ってお暇しようとする母親に、美和はぶんぶんと顔を振った
「今日はここにいる……」
小さい声でそう答えた美和に母親は驚く