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よくある恋愛モノ
第10章 そして、確信
普段美和が首を横に振ることはないのだ
「美和……」
諭しかけた母親を陸が遮る
「今日は僕も残りますし、明日は休みですから、ここにいさせてあげて下さい。何かあったら連絡しますから」
しっかりとそう言う陸に、母親は少し躊躇ってからうなずいた
「ご迷惑にならないようにね」
そう言い残して、母親は帰っていった
「もう安定してるから、入って大丈夫だよ」
美和は陸に続いて病室に入る
凪は何事もなかったように眠っていた
美和は凪に近づき、間近で凪がしっかりと息をしているのを確認すると、今度は本当に腰が砕けてその場に座り込んでしまった
陸に椅子を進められなんとか座ると、今度は異様な静寂に包まれる
「あの……」
静けさに耐えられなくなった美和が口を開いた
「ごめんなさい…私のせいで……」
「いやいやいや、美和ちゃんは全く悪くないって」
陸はそう言うと思ったというように軽く笑った
「美和ちゃんも凪も悪くないって。でも、刺されるなんて凪もドジだなぁ」
「それは!私が気を逸らしちゃって……」
「愛されてるねぇ、美和ちゃん」