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rena's world story☆h.a.s.r.r.y
第5章 ♥離れないで
……お台場海浜公園という、その名の通り
人工的に作られたビーチの手前に、なだらかな斜面が続く芝生がある。
正面に輝く吊り橋を楽しむ為に、街灯は淡く足元を照らす程度で
寝っ転がってるカップル達にビビリながら、私は元来た道を進んだ。
「……あ、あれだ」
通り過ぎたかも!と、何度か振り返ってしまったけど
数少ない木製のベンチに座ってるその姿を見つけて、ホッと胸をなで下ろす。
「はい莉央、お水」
「………」
「優しい彼女が、コンビニで買ってきてあげたわよ」
まだ終電まで時間があるし
帰り際、翔ちゃんがさりげなくタクシー代を渡してくれたから
この男の酔いを醒ます為に、少しここで休憩することにした。
莉央の左隣りに座って、袋から自分の分のペットボトルを取り出す。
私だけ缶ビールにしようか迷ったけど
“ 優しいな、お前の彼氏は ”
「………」
……胸がいっぱいで、これ以上飲める気がしなかった。