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rena's world story☆h.a.s.r.r.y
第5章 ♥離れないで
……トクン、と胸の奥で音がして
勢いで浮いた腰を、再び元の位置に戻した。
「……莉央?」
「彰くんのことは学生の時から知ってたけど
こんなにも深く、付き合える仲になれるとは思わなかった」
「………!」
「普通じゃ絶対に出会えないアンジーに、認めてもらえたこともそうだ」
「………」
「出会ってからたった1日で、隼人と友人になれたのも」
……莉央の声が、夜風のような優しさに変わって
その表情が、いつもと違って穏やかだから
……どうしよう
胸が、きゅうっと締めつけられて苦しくなる。
「……感情を無くして、機能していなかった俺の心を温かくして」
「………!」
「人の痛みや、優しさを感じて
誰かの為に、何かをしたいと思えるようになったのも」
「………っ」
「大切な人達がいることを、俺に教えてくれたのも」
……夜景に照らされて
莉央が真っ直ぐ私を見つめた。
「心を取り戻してくれたのは
……沙月、全部お前だろ」