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rena's world story☆h.a.s.r.r.y
第5章 ♥離れないで
……ドキドキ、なんてもんじゃない。
心の奥底まで鷲掴みにされたようで、言葉にできない。
……私をそんな風に言ってくれるなんて
嬉しくて、すぐにでも抱きつきたいんだけど……
「……私は何もしていないわ」
「………」
「莉央は、最初から心があるんだよ。
ずっと気付けなかっただけで……」
Tシャツから伸びる細い腕に、そっと触れるのが精一杯。
……だって
甘い台詞を言ってくれる時、いつも莉央は笑ってくれるのに
今私からふっと視線を逸らしたその表情に、笑顔が無いから
……なんだか、切なくなってきてしまう。
「ねぇ、莉央…」
「沙月」
「……?」
「お前、赤信号の時はちゃんと止まれよな」
「……え?」
「点滅したら諦めろ。無理して渡るんじゃねーぞ」
「………」
……はい?
「な、なんの……話?」
「お前は昔から親の制止も聞かず、海でも道路でも走り回って」
「………!」
「すぐにコケて怪我するから、こっちがヒヤヒヤする。
気をつけろって言ってんのに何度も繰り返すから、むしろ引く」
「………」
「……危なくて見てらんねーんだよ」