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rena's world story★a.n.r.r.y
第5章 2人で、一緒に
……止まったはずの涙が、再び頬を伝う。
彼の深い瞳が、涙で滲んでよく見えない。
「……私に、務まりますか……?」
多くの責任を背負って、第一線を走り続ける蓮。
人望がある彼の周りには、優秀で輝かしい人達で溢れている。
……何の取り柄もない私が、本当に出来るの……?
「……っ 私に、蓮を支えることが…」
「支えなくていい。
務めるとか役割を果たすとかじゃないんだよ」
「………!」
「何かを特別にしなくていいし、深く考えなくていい。
あんたの心を暗くしたら意味がないから」
ゆっくりと歩いて、私の目の前で立ち止まると
姫宮さんの人差し指が、私の涙をそっと拭った。
「ただ寄り添い、想い続けてくれるだけで
…… “ 俺達 ” は強くなれる」
「………!!」
「俺達が必要とする相手が、同じように自分を見てくれる……
それだけで、心が温かくなるんだ」
「………っ」
「……だから、これからもずっと
蓮の隣りで笑ってやってほしい」