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rena's world story★a.n.r.r.y
第5章 2人で、一緒に
姫宮さんの指が、反対側の頬に移ったけど
私の涙は止まらなくて、彼の表情すら見えなくなっている。
「……もう泣くなよ。
マジで殺される」
「……っ ごめ、なさ……」
「俺、男なんだけど。
そんな潤んだ目で見られると、何するか分かんないぜ?」
「………!///」
色気を帯びた瞳に、ドキンと心臓が跳ねる。
冗談に決まってるだろと、笑いながらポケットに手を入れて
私の手にハンカチを渡してくれた。
「……蓮の力には、なれねぇけど」
代わりに飲み終わった紙カップを受け取って、彼は続ける。
「せめて、あんたの役には立つようにするから」
「………!」
「仲間と環境には恵まれてるんだ」
……扉を開けると、BARの入口が見えて
彼は視線で合図をしてから、ふっと笑った。
「疲れたり、辛くなったらいつでも来いよ。
蓮を連れてきてもいいし、1人でもいいから」
「………!」
「あんたの悩みなんてアホらしくなるくらい
……騒がしい連中達と一緒に待ってる」