この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
rena's world story★a.n.r.r.y
第6章 繋がる心

.。.:* side ヒメ *:.。.。.:**:.。.。.:**:.。.。.:*
─── 終電へと猛ダッシュしていく、ユーリの後ろ姿を見送ったから
マンションの外壁が見える頃には、深夜0時を過ぎていた。
「………」
最後の曲がり角を曲がって、エントランスまであと数十メートルの位置で
1台の黒塗りのベンツが停まっているのが目に入る。
ゆっくり近付いて、その高級車の窓を叩こうとした……と同時に
「遅い」
後部座席のスモークガラスが下がって
腕を組んだ女が、俺を見上げて溜息を漏らした。
「10分遅刻よ」
「………」
「いい大人なんだから、時間くらい守りなさいよ」
相変わらずツンとした態度で、優香が髪をかき上げる。
姉貴はいないようだ。
「……たった10分じゃねぇか」
「女を待たせるなって言ってるの。
こんな時間まで飲み歩くなんて呆れるわ」
「その台詞そのまま返す。だいたい…」
「私に口答えしないでくださる?」
「……あ?」
「生意気なのよ。ガキのくせに」
~~てめぇと3つしか変わらねぇだろ!……と言い返そうとしたけど
……優香の右肩に、小さな頭をくっつけて
スヤスヤと眠る美和の姿が見えて、俺は自然と口を閉じた。

