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rena's world story★a.n.r.r.y
第7章 祝福の日
「さてと。
瑠璃さんのご両親に、もう一度ご挨拶してから行こうかしら」
コーヒーを一口だけ飲むと、母親はハンドバッグの中から携帯を取り出した。
そのタイミングで俺の携帯も振動して、画面に “ 瀬名 ” の文字が表示する。
「もしもし?」
『お疲れさん。こっちは順調』
「………!」
『急かして悪いが、19時半にエントランス集合で。
着いたら降りるから連絡して』
要件だけ淡々と話す瀬名がいるのは、次の会場の42階。
その電話口の後ろから、慌ただしい様子が伝わってくる。
……時間が押した披露宴を途中で抜けた、二次会進行補佐。
一条派閥崩壊のゴタゴタで多忙の中、一言も愚痴を言わずに完璧な準備を進めてくれた。
『間に合うか?』
「あぁ、瑠璃の準備が終わったらすぐ行くから」
『距離は短いけどタクって来いよ』
「分かった。
瀬名、ありがとう」
『………!』
同期の席に座っている姿を一瞬見れただけで、会話は全く出来なかったから
これから始まる二次会で、改めて伝えようと思うけど
「感謝してる、色々と」
『………』
「ありがとな」