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rena's world story★a.n.r.r.y
第8章 集合
「ははは、姫宮くん。口を慎みたまえ」
俺の腕から引き剥がすように、千夏ちゃんの手をグイッと引き寄せて
煙草を灰皿に潰しながら、ユーリが鼻高々に笑う。
……ヒメの言う通り、この口調からして相当飲んでるらしい。
「はい、ここで問題~。
あの披露宴を1番盛り上げたのは誰でしょう?」
「あ?」
「俺・だ・よ・ね~~!」
「……は?」
質問の返答を待たず
グッと立てた親指を、ユーリが自分に向けて前後に揺らした。
「笑いを細かく取り入れながらも、蓮の魅力を感動的なまでに大・放・出!
だらだらグダグダしねぇ、短く凝縮された完璧なスピーチ!」
「………!」
「社歴の短い君と君には無理だろうね。
あんな恐ろしい大御所達の前で、立派に友人代表を務めあげることは」
「………」
「さっすが俺様♪ 神をも超えたな~~」
ダークスーツの下は、千夏ちゃんのドレスと同じイエローのカラーシャツを着て
クロスラインの入った白のニットネクタイ。
無造作に散らした短い髪の下で、揺れる長い睫毛。
男の俺でもトキメく綺麗な顔をしたユーリは、仲間内ではツッコミ役のはずなのに
……ヒメの言う通り、浮かれるあまり本来の自分を見失っているらしい。