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rena's world story★a.n.r.r.y
第9章 message
会場のあちこちから、大きな拍手と口笛が飛んだ。
……ヒメの言う通り、ここには学生時代を共に過ごした仲間が大半で
それでも……商社の奴らも、瑠璃のCAの仲間も
見渡す奴ら全員が、キラキラした瞳でヒメを見つめている。
……会場が、一体感に包まれている。
「俺は司会なんてやったこともなければ、朗読をしたこともない」
「………!」
「だけど、趣味でボーカルをやっているだけあって
皆様もお気付きの通り、生まれながらいい声を持ってるもんで♪」
「………」
「そもそも言い出したのは俺だから
ここにこうして立つことに、誰も異論は無いよな?」
得意の自慢に、全員が笑って野次を飛ばすけど
さっきから胸が熱くてどうしようもなくて、俺はうまく笑顔が作れない。
……ヒメが、言い出した……?
「 “ 蓮に向けたメッセージを、一言でいいから書いてくれ ” 」
「………!!」
「メールで済ませたりパソコンで打つのではなくて、ちゃんと自分の文字で綴ってほしい。
そんな俺の面倒な条件にも拘らず、予想を遥かに超えた数が集まった」
「………っ」
「……一言だって言ったのに
この箱に入りきらない程の手紙が、俺の元に届いたんだ」