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rena's world story★a.n.r.r.y
第9章 message

「~~~おい!!」
爆笑する仲間の中から、背の小さい男が勢いよく立ち上がった。
……茹でタコのように真っ赤な顔に、思わず吹き出してしまう。
「バカヒメ!!
今のは完全に匿名にすべき内容だろうが!!」
「加奈子には事前に許可取ったぜ?」
「~~俺に取れよ!
しかも98番目って、なにそのすげー微妙な順位!」
「あ〜バレた?」
「俺は3番って書いた記憶がありますけど!?
律儀にお前の存在を意識して…」
「あぁ、ちょっとイラッときて順位を落としてみた」
落とし過ぎだろ!とさらに吠える中野を見て、初っ端から会場が盛り上がった。
「………」
……大学から別々の道に進んだけど
喧嘩してばかりの俺とヒメの間に入って宥めるのは、いつもこの男だった。
“ ヒメが泣いた。
……泣いたんだよ、あいつが ”
“ 蓮、お前理由知らない?
ヒメが何かに悩んでるなら、助けてやりたい ”
……高校2年の夏、優勝した都大会
翌日俺を屋上に呼び出してそう訴えた、17歳の中野の姿が目に浮かぶ。
戻ることのできない、青春時代。
あの頃の記憶が今、ゆっくりと開かれていく。

