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rena's world story★a.n.r.r.y
第9章 message
「……かっこつけた事言いやがって」
目頭が熱くて、いつもは隠してる本来の口調に戻ってしまう。
視線を合わさず、夏輝に向けてそう告げると
「俺じゃねぇよ」
煙草を咥えたまま、夏輝も俺を見ずに答えた。
……その向こう側で陽菜が泣いている。
「数年旅してた奴なんて、お前しかいないだろ」
「……手紙なんて、普段書かねぇし
長らく離れてたから、日本語の使い方が分からなかった」
「……っ
そんな奴が……あんなメッセージを書けるかよ……」
「……思ったことを文字にしただけだ」
……だめだ。
その言葉でもう寸前まで込み上げてきてる。
陽菜が差し出したハンカチを、夏輝が受け取って
その様子をステージから見ていたヒメが、小さく笑った。
「次も、連名。
……ほんっと仲良しだな」
四葉のクローバーが描かれた、先程と同じ2つ折の紙。
……昔からカンのいい俺は
ヒメが連名と言ったその2人が誰か、分かってしまう。