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rena's world story★a.n.r.r.y
第9章 message
「……あと、2人」
会場のあちこちから、すすり泣く声が聞こえて
全員の視線を集めるヒメが、空模様のメッセージカードを手に取った。
「 “ 『黒髪の蓮、茶髪のヒメ
どっちでもいいから紹介して!』 ” 」
「………!」
「 “ 在学中の4年間、何度その依頼をされてきたことか。
異常にモテるあんた達と近かったお陰で
今思い出しても、呆れる程賑やかな大学生活だったわ ” 」
……読み上げているのはヒメだけど
ソファの端に座り真っ直ぐ前を見つめる……ヒカルの声で聞こえてくる気がする。
「 “ このメッセージは、蓮に向けたものだけど
あたしにとって蓮との思い出は、イコールで繋がるくらいヒメとも共通していて
……子供のように喧嘩してる2人が、今でも目に浮かんでくるよ ” 」
「………」
「 “ あんたたち以外、みんなが感じてると思うけど
── 蓮とヒメは、本当によく似てる ” 」
“ あのさ、喧嘩する暇があるなら
誤解してる周りの女達にキッパリ言ってくれないかな ”
“ ヒメとあたしは単に学部が同じだけ
蓮とあたしは水泳部の……~~ってだから人の話を聞けっつーの! ”
……中学高校で、中野がその役目だったように
俺とヒメの言い合いを止めるのは、いつもヒカルだった。