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rena's world story★a.n.r.r.y
第10章 愛してる

「麗子さん達帰っちゃったの? いつの間に……」


そう言って覗いた向側のソファ席から、2人のバッグが無くなっていた。

着替えるアンナと一緒に出ていったけど、暫くしたら戻ってくると思ってたんだけどな……

……って、それなら

従業員の人も誰もいないのに、ど、どうすればいいの?


「アンナ、ヤスくんの連絡先知ってる?
帰るならお店閉めないと……」

「あー大丈夫だよ。
ってゆーか美和はまだ帰らなくていいの」

「……えっ?」

「そろそろ迎えが……」


そう言ったアンナが、にんまりと笑った……と同時に

入口付近から、カツンと革靴の音が聞こえた。


「………!」

「ほらね、グットタイミング♡」


アンナが振り向いて、体ひとつ分横に移動すると

……その後ろから

スーツのポケットに片手を入れた男の人が近付いてくる。


「………っ」


……ドキンと心臓が跳ねる私の前で

引き出物の紙袋を持ち、全身着飾ったヒメが立ち止まった。



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