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rena's world story★a.n.r.r.y
第10章 愛してる
「……この惨劇……
どう考えてもお前ら2人だけじゃねぇだろ」
散らかったテーブルの上を見て、ヒメが深く溜息を漏らした。
……な、なんでヒメが……っ
同じビルだけど、此処には来ないと思ってたのに……
「当然でしょ。
麗子さんと優香さんが、今夜ここを貸し切りにしてくれたんだから」
「…… “ それは ” 聞いてねぇんだけど」
「言ってないもの」
バッグを肩に掛けて、アンナが楽しそうに笑う。
私は……突然現れたヒメに驚いて、声が出てこない。
「アンナ……お前まで魔王の晩餐会に入会しやがったな」
「産休を貰ってただけで、最初から会員ですけど?
誰もいないけど、お酒は自由に飲んで良いから今夜も最高だったわ」
「……チッ、ヤスの野郎。
姉貴の命令はヘコヘコ聞きやがって……情けねぇな」
「ねぇ、そのヤスくんは一緒じゃないの?
私もう帰るんだけど、ここの鍵どうすればいい?」
私の前で、昔みたいに小気味良い会話を続ける2人。
アンナをジロリと睨むと、ヒメがポケットからカードキーを取り出した。
「……二次会が終わって、ヤスはそのまま帰るってよ。
施錠を頼まれた」