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rena's world story★a.n.r.r.y
第10章 愛してる
……メインフロアに、淡いダウンライトが点けられているだけで
ロフト席やその他の照明は消えてるから
窓の外に広がる夜景が、このステージ上まで届いていて
……その光を背にするヒメは……本当に綺麗で
今は金髪では無いけど、輝くアッシュブラウンの髪に見惚れてしまう。
「……あの、ヒメ……?」
私、今素直に褒めたんだけどな。
いつもだったらドヤ顔をするヒメが、何の反応もしないから
なんだか不思議な感じがして、もう一度呼んでみると……
「……そんなことねぇよ」
「………!」
「俺は凄くなんかない」
……風のように柔らかい、優しい声。
ドキンと心臓が跳ねる私を見て……ヒメがふっと笑った。
「── 俺はさ、特別な何かを持ってるわけじゃないんだよ」
「……えっ?」
「あるとすれば、顔が超絶イケてるとか」
「………!」
「頭がよくて運動神経抜群で、センスがいいとか」
「……ぷっ///」
「話上手で歌も歌えるとか……それくらい」